比較的大きな円筒形の器であり、外面の上下には雷文帯と蓮弁文帯を密に巡らせている。胴部の四箇所には、二重円と円列文の中に満開の菊花三輪を黒白象嵌によって表し、その間には珠簾文を配して装飾している。底部の蓮弁文帯の上方には蓮花と柳の文様が細やかに施され、その文様の間には「正陵」の銘が象嵌されている。釉色は緑青色を呈し、発色は均一ではなく、一部に緑褐色に変色した箇所が認められる。高台は低く、砂を支具として焼成されている。正陵とは恭愍王妃である魯国公主の陵墓の名であり、本作は1365年から1374年頃に正陵所用の器として制作された、歴史的に極めて重要な青磁作品である。14世紀後半に康津沙堂里窯において制作・使用されたものと推定される。